どうも鹿児島市のきしゃば会計事務所 税理士の中村です。
個人事業による利益は、事業所得として所得税法に基づいて納税額を計算します。
法人を設立し会社組織になると所得税を卒業し当然、法人税法に基づいてそれを計算することになります。
個人事業でしたらざっくりと、収入から費用を差し引いて…ナントカ控除があって…税率を掛けて…というイメージで結構なのですが、会社設立後の税額の計算はちょっと違います。
結論からいいますと、法人のその期の利益金額に税率を乗じるのですが、法人税の課税所得金額は決算書面上の当期利益の金額と同じにはなりません。
…なぜか?
企業会計の目的は、第一に適正な期間損益計算をすることによって、経営者や、外部の利害関係者の意思決定に役立つ情報を提供することです。
年次比較が可能な情報によって、経営者の投資計画や、銀行さんの融資計画に役立てたいのです。
それらは「企業会計規則」というルールに基づいて作成されるのですが、そこでは会計処理に一定の選択の余地が許容されています。
つまり、全く同じ業種・業績のA社とB社という二つの会社があるとして、会計方針のいかんによって計上される利益の金額が違うということがありうるわけです。
一方、法人税法の目的はひとえに「課税の公平」です。上記の例でいいますと、「A社とB社、利益の金額は違うけど、業績が同じということは当期の担税力は同じだよね、じゃあやっぱり同じ税額払ってもらわなきゃ不公平だよ」という考え方をしています。
というわけで法人税額の計算にあたっては、A社とB社の異なる利益の金額を同じ金額に調整するという作業をすることになります。「する」といいましたが、税務署がしてくれるのではなく、A社B社ともそれぞれ自分でやらなくてはなりません。これを「申告調整」といいます。
…会計方針の引き直しが申告調整の全てというわけではないのですが…細かいところはおいおいやっていこうと思います。