会社名(商号)を決める
会社名にはとことんこだわりましょう。命名は起業者の特権です。 自分の名前を織り込むのもよし、想いを織り込むのもよしです。 たとえば会社名ではありませんが私は「きしゃば会計事務所」と命名しましたが、これにはいくつか思惑があります。
- 騎射場と地名を付けることで騎射場に事業所があるとわかる
- 騎射場を『きしゃば』とひらがな読みにすることで、会計事務所というお堅い職業のイメージを払拭したかった。
- うしろに会計事務所がついてるので、一目で会計事務所だと理解していただける
カッコつけすぎて誰も意味のわからないフランス語の会社名を付けたりするのは賛成しかねます。 出来れば①名前を覚えてもらえるようなインパクトがある、②職種など色々な情報が会社名から読み取れる、は最低限クリアしてほしいものです。
また会社名命名には登記上最低限のルールがあります。 まったく違う業種なのに『病院』『銀行』などは名乗れません、現在は同地域で同じ名前の会社名を名乗れるように なりましたがソニーやパナソニックのような有名企業の名称は使えません。同地域で同じ名前の会社名を名乗れると書きましたが、それは登記上認められているだけで、あとあと訴訟問題に発展しかねませんので、登記の際には類似商業の調査が必要です。(司法書士さんに代行できます)
事業目的を決める
会社設立をしようと考えてる方はなんの事業をするのかは当然決まっていると思います。 ここで指摘したいのは、他に将来展開するかもしれない事業です。 会社の憲法である「定款」に事業目的を記載するのですが、例えば[自動車整備業]のみ記載した場合、将来自動車販売も始める場合は、定款と謄本に追加記載せねばなりません。 自動車保険代理店を始める場合、さらに追加記載せねばなりません。 追加するごとに司法書士手数料と登記費用を数万円使わなければなりません。 それならば、いっそ将来展開しそうな事業は最初から羅列させておくことをお勧めいたします。 10業種くらいは考えておいた方が良いです。
他に気を付けておかないならないのは許認可が必要な職種かという事です。 宅建などはびっくりするような入会金の額が必要だったりします。
法人の種類を決める
法人の種類には株式会社、合同会社、一般社団法人、合資会社、合名会社などがあります。 よく目にする有限会社は2006年の会社法改正で新規設立出来なくなりました。 その代わりに似たような組織体系の合同会社というものを設立できるようになりました。 法人の種類を何にするかは、資金、事業規模、将来のビジョンを考慮し決めればよいと思います。 詳しくは、「会社設立のメリットデメリット」を参考にしてください。
資本金の額を決める
資本金はいくらでも良いです。1円でも1億円でも。 ただ会社設立時の登記費用が合同会社でも最低10数万円かかりますから、資本金は最低それだけは用意しなければなりません。
ただ資本金というのは会社の体力を示すものです。この額が10万、20万という金額ですと、会社として信用されません。
会社を設立したらどのみちしばらくの運転資金や在庫購入、テナント料などがかかるのでそれに見合うだけの金額が必要です。
一般的に開業資金は300~500万は必要です。資本金がそれ以下の場合は創業融資を考えなくてはなりません。
もう一つ気を付けていただきたいのは、逆に資本金が多すぎる場合です。 資本金が1000万円を超えますと、税務上色々不利益な事があります。
まず消費税の免税期間がありません。通常設立後2年間は消費税が免税ですが、1000万を超えると設立年度から消費税の支払義務があります。
次に法人市県民税の基本料金である均等割額です。電気料金が契約アンペアで基本料金が変わるように資本金の額で均等割額が変わります。
資本金1000万円までなら合計71,000円ですが、1000万円を超えますと182,500円です。
差額11万です。毎年のことなのでバカになりません。
許認可で資本金に制約がある場合を除き、資本金は1000万円未満にすることをお勧めいたします。
会社の機関と役員を決める
会社の機関、つまり機関設計というのは難しい話となります。 代表取締役や取締役、監査役、会計参与、代表社員、社員などの登記上の役職のです。 正直説明を受けても全く意味がわからないとおもいますので会社機関設計について省略いたします。 現代では株式会社も合同会社も1人役員でも設立出来ますので、このあたりの決め事で迷うことはありません。
本店所在地を決める
本店所在地は事業所の住所でなくても構いません、人間でいう本籍地みたいなものです。
会社設立時は自宅を本店所在地にされる方が多いです。
ただ賃貸物件の場合は大家さんの了承が必要かもしれません。
あと、本店所在地の住所が税務署の管轄となります。店舗が天文館にあっても本店所在地が姶良にあれば、所轄税務署は加治木税務署となります。
公的な書類は本店所在地に送達されますので、実際いつもいる場所がよいと思います。
決算月を決める
どうでもよいと思うかもしれませんが意外に重要なことです。
決算月と言えばみなさん12月や3月をイメージしますが、逆にその月の決算はおすすめしません。
決算月には棚卸や売掛金や買掛金の整理をします。年末や年度末の忙しい時期にこの作業に時間を割くのは厳しいです。
「12月ならともかく3月はうちの事業は特に忙しくないから3月でいいよ」と言われる方がいると思いますが、 3月決算にすると2か月後の5月申告なります。申告時に法人税消費税の納付をするのですが、5月と言えば自動車税や固定資産税の支払、国保の加入の場合は国保の支払と、税金倒れしてしまいます。
では何月決算がよいのか?繁忙月を期首に持ってきていただきたいものです。 例えば5月が繁忙月なら、5月開始の翌4月決算にしてください。5月に稼いだ利益をそれからの11カ月にかけて、利益調整が可能です。 逆に繁忙月を決算月にすると利益が出ても処分する余裕や計画が立てられません。
会社印を決める
法人印は4つあります。
代表者印
通常丸い印鑑となります。法務局で登録する印鑑です。契約時など法的な場面で使用することが多いです。
社印
通常角印と呼ばれる印鑑です。見積書、請求書、領収書などに押印いたします。
銀行印
銀行の法人取引で使用します。
上記がいわゆる法人印鑑セットです。象牙などの高価のものを用意するのもよし、ネットで激安で探すのも良いでしょう。ただ類似商号調査後に作成してください。
シャチハタ印
なんだかんだ言って一番使用するざばんです。
あと印鑑ではありませんが、創業メンバーは会社設立時に個人印鑑証明の提出を求められます。 すばやく提出できるよう用意しておきましょう。 住所変更された方がうっかり前住所地で印鑑証明を作っていて、その変更手続きで大幅に会社設立に時間がかかったことがありました。
会社設立後に決定すること
各種届出
共通して、税務署、地域振興局、市役所への開業届けが必要です。税務署については開業2カ月以内に青色申告承認申請の提出をしないと色々不利益が発生します。
また社会保険加入をされたい方は年金事務所に、業種によっては市や県への認可届出が必要です。
役員報酬額の決定
「まだ会社おこしたばかりだしあるとき払いでいいよ」と言われるでしょうが、税務上は開業後3カ月以内に役員報酬を決定しなくてはなりません。
役員報酬というのは年度途中の金額変更が出来ませんので、開業後に役員報酬を決めておかないと、初年度は役員報酬ゼロ円扱いされることになります。
創業融資
開業すればテナント契約、商品仕入れ、運転資金とあっという間に準備金は底をつきます。 資金ショートが心配な方は、政策金融公庫を中心とした低金利の融資の検討をお勧めします。