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個人は所得税、法人は法人税③

加算項目には理論上二つありました。

  • 収益ではないが、益金である  ➡これを「益金算入」といいます。
  • 費用ではあるが、損金ではない ➡これを「損金不算入」といいます。

このうち頻出するのは「損金不算入」になります。会社を設立したばかりの方に特に気を付けて頂きたいものをピックアップしてみます。

①減価償却の償却超過額

 償却資産は会計上とは別に財務省令でこと細かに法定耐用年数が定められています。「店舗用の鉄筋コンクリート造の建物は39年、定額法償却率は0.026%とする」といった具合です。大きな利益が出ているからと言ってこれより短い年数で償却しようとすると、その年度においては損金不算入ということになります。とはいえ、これについてはいずれ後年で損金算入することになりますので、「損した!」ということにはなりませんが、毎年面倒くさい思いをします。

②寄付金

 寄付金として損金算入できる金額は(資本金の0.25%+所得の2.5%)×0.25 です。資本金300万円、当期の所得300万円の場合でしたら2万円ちょっと、ということになります。これを超える金額を寄付すると損金不算入。よかれと思って寄付をしたのに…損します。会社の利益に貢献しうるような支出でしたら、初めから交際費や広告宣伝費で処理しておきましょう。

 もっとも、全額損金にできる寄付金があります。「国」、「地方公共団体」、「公益に寄与するものとして財務大臣が指定したもの」に対する寄付金がそれです。要するに、税金払ったのと実質変わらないような寄付金ですね。しかし、その使途について自分の意思を反映できるという点、ちょっと魅力的ではないでしょうか? ・・・面白そうですが、話がそれるのでまた今度にします。

③交際費

 交際費の損金算入限度額は「接待飲食代の50%」もしくは、「800万円」のどちらかです(資本金一億円以下の法人の場合)。起業からの設立初期の段階で交際費が800万円を突破するようなことはそうないと思いますが、一応、念のため。もちろん、「800万以下ならなんでもアリ!」とはなりませんので、一応、念のため。

 交際費として認められるかどうかの基準はひとつ。「会社の利益に貢献する支出であるか?」です。交際費と売上とが一対一で対応している必要はありません。「その支出がどのように会社の利益とつながっているのか」を説明できるように(心の準備を)しておけば良いと思います。

④役員給与

 法人成りする時にご自分の給料を決めると思いますが、ほとんどの方に毎月同じ金額を設定していただいております。会社設立をお考えの方はご存知だと思いますが、代表者が自分の給料を損金にする方法はこの「定期同額給与」によるか、もしくは「事前確定届出給与」によるか、二つに一つしかありません。(利益連動給与について同族会社は対象外です。)

 事前確定届出を併用しない場合、定期同額給与、つまり毎月同じ金額を支給しているもののみ、損金として認めるということですから、社長にボーナスは無いということです。正確にいうと、「別にいくらボーナス払ってもいいけど、その分は損金不算入ね」ということです。

だから、儲かった月に100万円、社長がボーナスをとったら、その100万円に所得税と法人税がまるまる課税されます。これを業界用語で「ダブルパンチ」とか「往復びんた」とか云います。こんな恐ろしいことですが、案外とご存じでない方多いです。

 ちなみに、業績が悪いからといって毎月の自分の役員給与を減らしてもダメです。「定期同額」でなくなってしまうので、損金不算入です。

 

で、「益金算入」なんですが、売上計上漏れを指摘されるような場合を除いて、ほとんどの中小企業の申告調整に関してこれはあまり発生しません。

あるとしたら…無償譲渡でしょうか。

会社の車を使わなくなって、誰かにタダであげたような場合です。減価償却済みで時価もないような場合なら問題ないのですが、その車に市場価値があるような場合ですと、税務上は「時価で売却して、そのお金を相手に寄付した」というような考え方をします。つまり、その時価の金額を売却収入として益金算入、限度額以上の寄付金は損金不算入。タダであげると、タダであげたうえに税金を払わなくてはなりません。

 営利企業がタダで経済的価値を放棄する、という不自然なことを、そもそも税法は予定していないのですね。

「タダより怖いものはない」といいますが、会社を設立したら、タダであげるのも結構怖いみたいです。

 

ちょっと難しい話になってしまいましたが、法人の場合は経費がかならずしも経費として認められないという事です。度が過ぎる部分は会計では認めても法人税法では認めません。

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